欠ける
【欠ける】
目的格を狂わせねばならない
枯れたあやめ並べた寝床で
きみをねむる、というように
百日はこえるだろう身熱の
はじめに萎れを置けば
とおくからやってくるものも
すでにわたしにあったはず
ただそんざいをしんずるため
すがたをおがむのではなく
そのものの体内感になることで
ときをたゆたっていた静けさまで
ひととわたしの包みにかわる
このあたりではほぼ蟬が鳴かない
翅の絵をかく日に起きだそうとして
ひかりを透けたふくろとみれば
すがたの欠けた半鳥も野にあふれ
くちずさむ身すらきみをねむる