オリオン
【オリオン】
ひとりぐらしのすまいでは
ぞんがい把手はふれられない
せかいの半回をみちびくための
ごくささやかな突起なのに
ようなしにはあまりとみられる
あさまだきのいっとき
なかで詩水を汲むことがある
まっくらながらあかりする
井戸の家と、とびらにかいた
おおかたはやさしい白湯で
俗塵をあらいながすだけだが
つるべをあげるにんげんは
よなよな連星のかおりがして
どうさとはさだめだろうか
おそれて三博士がさわるのは
ひとつの参をまたたかせる
ものしずかな把手なのだから
そのまわりにも四辺形の
うすいかざりがあってよい