うしろから
【うしろから】
けしきはひとに正対などしていない
それらはうしろすがたのままだ
だからせまるときに愉悦となるし
かどをまがればそのかどごとに
あかるさがまされてゆくのだろう
あせばんだうなじにおくれげが
ながれるかたちのままへばりついて
ひっきょうひとのうしろすがたも
それだけになろうとほそまってゆく
けれどうしろからちかづき追いこせば
みしらぬおのれのうしろすがたが
ぶざまにさらされてしまうのだ
なにごともうしろからだと悪はいう
不意をつくということではない
しらぬもののためしらぬものとなる
献杯のつなぎにあこがれるだけだ