乳房とほく流れよ
白花をゆびもて挟むあらはれし昔ただ切れわが半減期
すこしづつ死ぬを常とし色失くすわがうつしみと空の鳶の輪
常闇の黒かがよひをとほりたり手にもつものも美(は)しき黒とす
性愛に異境ありせば性愛の外もとよもす滝つ瀬のおと
凶獣がしりぞく今の葉裏見ゆ銀をなすもの白へとただ褪す
千年の白ともおもふ忌み曇りさくらと霊の境つかめず
川上に人あるべきを葛の花踏まれもせずに匂ひ古りたり
千年を耐ふる喩として色もなき鴉ゆきかふ曇り空など
歴年が艶なるゑみを返すなら一刀のもと寵姫血まみれ
ちちぶさは谷底の花ながるるに壊死なくば乳房とほく流れよ
●
昼までにつくりあげた十首をアップすることにします。
最初の九首がコミュ「タイトルで詩歌句/「百年の孤独」「海と毒薬」」へのもの、
最後の一首が依田冬派くんのミクシィ日記への書き込みです