蔦
【蔦】
あるかなきかのすじに沿い
ちからがこぼれおちてゆくのを
かかげられたほそい腕にみた
性をあざむく放精のようだ
ぶどうを狩るにはぶどうがなく
さがしてあらがいながらも
べつのかいなのときにつなげ
となりあうことがひろがりだと
わずかばかりをゆらしきった
もえる蔦の深紅ペーストを
そと壁からそぐしごとだった
よつあし時代をのがれでた
おんなのなましろいかたうでは
かなしくもやを、うごきする
ふくらみなくかたちに欠けるが
みえがたいすじであるかぎり
みえがたいものがたりもよせて
さきの手で季節外れをつかみとる