疎
【疎】
ありうべき疎密のちがいが
わからなくなったのは
疎に密をおぼえてしまった
あのひとと詩からだろう
おかと丘のかんげきを
それぞれあるく十数人さえ
なかにすきとおってわたしがあり
たれかのみがわりにこそ
わたしはわたしをかぞえられた
ゆくと樹の合掌形がそびえた
かたちはなにごとかをいのって
かたちそのものにかおがみえない
たんすうはいつもよじれ
なべてがふもとよりもたかい
あのあたりから密が疎へくずれて
うすあかりをしるべしたのだ
みずからの目鼻にふれても
まばらをさわっているようだ