壮観
【壮観】
とどこうとすることばが
つぎつぎとおくちからつき
はるかにおちてゆくそうかんを
それすらも歌とみやっていた
ふろにはほそく瀧などがあって
なみだが非人称であふれだす
おとからうまれた混浴だったのか
耳より耳のうちを聴くため
耳介へ耳殻をよせてみた
ふたごめいたならいなのだが
主語のおもいが人称化できない
ゆげのなかをうつろうのも
やすませたきみの飴状だろう
ゆあみでしぐさがながさにかわる
ことばがきみの髪洗いへとどかない
うちらだけのおのれがつづき
湯にくらく穴ができていた