二十吟(続)
あばれ鶴天下の凪の外に炎ゆ
鬱境や羽蟻透けゆき眼路も透く
おぼつかず境界霊と汀見き
物陰の十や二十が過去にある
越年や羽搏ち蚤を野に払ふ
野葡萄やおのれ解くまで滞る
悪銭を身につけ赤き銀杏を
かひやぐら周囲を食める善一生
この道が外道に岐れ薊咲く
烏賊好きのやがての燐を家に飼ふ
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河に葬る駒鳥などや不遇われ
砂洲を消す河の世をゆく水めきて
生まれ地は河洲の脆さ山女啼く
河辺にて漱ぎ口より秋となる
あなうらの鱗笑へる渡河ならん
城装束と白装束遭ふ男坂
白桃のうぶげ夕時の因陀羅は
白白とくりかへし嘔き線となる
白さもて乞はれ眼ぞこ闇ふかし
白芒の泳ぐ野を死後厠とす
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●以下は昨日の「未定」句会の提出句。
兼題は「河」「白」だった。
うち「あなうらの」は
高原耕治さんの示唆により
《あなうらの鱗笑へりわれの渡河》を改訂したもの