鈴木亮平
『孤狼の血level2』、映画で聖なる「怪物」と出逢いたいなら絶対に劇場に行くべき。鈴木亮平のことだ。行動に躊躇なく、残酷で変態で、恐怖を心底喚起する。『TokyoMER』の全能性とは全然違う。もみあげを欠如させた異形な髪型で、耳が尖って不気味。背広の着こなしがアジアギャング。色彩の微妙。亜侠電影。でかい。速い。体幹のバネがすごい。口跡と声が良い。勝つことへの執着と細心な警戒心。不死身、でもマゾヒズムと自滅願望をも隠している。ホモセクシュアリティ、というか、性的多型性。間合が怖い。爆発するときもゾッとさせる。電光石火。行動規範が出鱈目。任侠精神の埒外。下剋上など超越している。凡庸への苛立ちを隠さない。昂奮こそが昂奮という悲劇的再帰性。みられる恐怖に繊細に病む。笑顔がミスマッチで効果的。おおきな下顎が、顔の中心陥没性が、それでも異形の美を発散するところ、それを愛さなければ映画ファンではない。俳優とはまずは物質性なのだ。規格外。真に外部であることは崇高だ。破滅型。洞察力がある。血が似合う。精神性。絶倫変態性も暗示される。しかもなんと、死神の愛に守護されているのだ