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対岸十句 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

対岸十句のページです。

対岸十句

 
対岸は骨将千騎塵ひかる



対岸やデデ虫の冷え角の塔



対岸に芒ながれて少し寄る



対岸は韃靼産の思想満つ



超えそむるとき対岸が血と消ゆる



木炭めく魔羅もて樺としばし枕(ま)く



管物(くだもの)は線霊にして火に通ず



肉濁らぬ厚物にいま薄日あれ



笠間すぎ菊人形の嘆き曳く



鬼門へと出没しては鬼となる




昨日は女房と、原稿準備の煮詰まりを防ぐべく
袋田の滝~笠間菊祭りのはとバスツアー。
菊祭りは「日本の奇妙さ」の集約に似て、
ここで味わった霊的な鳥肌は一生蘇る気もする。

ちなみに「厚物」は菊を
首の長い肉厚の大輪の花として鉢に仕立てるもので
これは池端俊策の傑作映画『あつもの』、
およびその原作・中山義秀『厚物咲』で予備知識があったが、
線香花火の放射的な爆発を凍結したような「管物」は
僕にとっては初見参だった。微風に揺れる。
東洋的な霊性の薄気味悪さはこっちが上か。

(厚物は「羹」の語呂合わせから
管物も「くだもの」のそれから
生じたのではないかとおもった)

「菊人形」は日本人形が満身に小さな菊の花を
着物代わりにまとっているという代物。
植物-人間幻想といえば西洋的にも聴えるだろうが、
アルチンボルド的なマニエリスムを一旦感じても
まったく「解決」とは無縁な方向に妍を競い、
この無為がやっぱり東洋的だとおもう。
そう、「笑えない幽黙」、ということだ
(アルチンボルドなら笑える)。

いずれにせよこれらに接し、
自分の美学がずたずたに裂かれた。
日本、すげえ。
みなさんも笠間の菊祭り、一度ご体験あれ。



「ユリイカ」母娘特集のネタの仕込みはほぼ完了。
けふさん、naruさん、stさん、その他立教学生ら、
ネタのご教示をいただいたかたがたには感謝しきりです。
原稿は本日を過ぎた未明から書く。
母娘の身体宿命的な相互反射性から
時間の非知性へと伸びてゆく女性的静寂が僕のテーマだな。
そういう作品を数珠繋ぎにできればいいのだけど。

あ、作句中最後のものは「なにぬねの」書き込み欄で
解酲子さんとのやりとりから生じたものです
 

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2008年11月04日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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