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買おうとしている手袋 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

買おうとしている手袋のページです。

買おうとしている手袋

 
【買おうとしている手袋】


生活のセーターを
胸にあるまま胸に戻してゆく
あらゆる棒を
ほどきのもとと捉えて
今日ゆく脚の自らをまぶしむ
わたしは片々たる灰色だが
枯れ葉の道は渦巻いて
傍らの家々に 窓々に
濡れない海をはこんだ
そんなふうに収まる蟄居がある
多くを往路のおわりに視る

生活。十一月はせりあがり
温みに霜柱を幻覚する
地中から最後の舟が
次つぎ出発しようとして
冷たい火事のただなかにもいる
内側に折れる視線というか
つましい眼底の保持感覚で
第一の生活がつくられるなら
一人であるための漫歩は
木立の切れたあたりで
「生活の中締め」
地中と天上がふきあげ状に通じて
何ごとか後姿の
エロスのようなものも舞うから
晴れわたった透明に
血のにじむ流転を知ってしまう

伸ばさない。生活に準じて
一介の無名となる、手の収め方
買おうとしている手袋は
拳にあるこの虫の息を
ひそかに待っているだろう
ともるや




未明に起きて、また詩集をひもといていた。
水島英己『楽府』への畏怖、高まる。
渡辺玄英『けるけるとケータイが鳴く』は
改行リズムがとても良く、
終盤には目覚しい詩篇も集中していた。

そうした合間に、上の詩篇を書いた。
 

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2008年11月09日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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