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巣穴が多い、 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

巣穴が多い、のページです。

巣穴が多い、

【巣穴が多い、】


小さなオペラ。
そこからが森になる、
はいり口というべき処がいつも好きで、
涼やかな半袖の袖口のすきまや
「夏の日傘」のなかもいつも好きで。

われわれの肉の隙間には
黒い「ましら」、さかしら。
根を鎮めようと四つ這いになり
腕も以て前脚となり、毛深。
黒い虹のようなものになろうとしていた
ひとりではなしえぬ林立へと、ふたりで。
後背位、というのだろうか

森は「オルガン」上昇する。
夏に黒鍵が空に沸き立つ。

しかし木立や梢を見上げずに
蟠る根へ 模様へ 入ってゆくのだ
昇る動きもいつしか下りへ反った

(見晴るかす平地には)
水銀蟻の巣穴あまた、
その内と外を反転させるように
驟雨来たりて
一帯が一挙に毛羽立つ絨毯になる
王が音楽のように座っているが
むろん周りの校庭に何もいない
あれが「遠く」で、あれが「夏」だ

肌を鏡にすべく
俗世は互いを擦ればいい
それを見るため 大月、生きよ
ひみつの このしたやみは
塒にはならない

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2007年08月13日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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