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輪王 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

輪王のページです。

輪王

【輪王】


乙二号建築では
(火災警報器の誤作動もなく)
焙られきって一日中を除外された
公園の鉄棒群が 見下ろせただけだ
それらをつなぎ白じらとした
夏状の亜空間ができた、としても

何事も空白はつくりかえるな
胤のない砂だけがそこを伏していい

密議めくことだ、《肌を鏡に》。
材料にはただ水、「水の用意」
歩くことで生じた君の亀裂を
シャワー室でしずかに均し
再び入った部屋の天井からは
輪王の架空をおどろに垂らして
鏡面が熟すのをゆっくりと待つ

女の、私の、庭が、縁どられ映ったよ
百日の紅や、ましらの滑り。
物語る夏は退屈に退屈を接がれ
一人連詩も眠るように薄まり

入院の具体報ではあったけど
こんなバカみたいに字が不足したメールで
最後なんて嫌に決まっている

(「私の犬」を知るひとだから)
俄かに「わおう」。夕方の一斉。
吠え声が坂になって
凹んでゆく闇へのなだらかな傾斜では
サカりと離[さ]かりが結ぶ
この中心、しかし
「独楽はその中心だけが回っていない、
数学的にいえば」

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2007年08月14日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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