懐/体
【懐/体】
――かつてめぐり終える、永遠夏の周辺。
あなたの代位・トワを会話にめくりつづけ。
光の質も木蔦となって何かの芯を巻いた。
いない・視ない厚みの奥を半開性に知り、
旱魃がゆるやかに死者の瞳を渇かしてゆく。
熱線のさむさ。ぐれごりお、変身の譜。
和音を昇ってゆく不協の蛇=音楽がいた。
68年だった。半ズボンの膝に貼られる、
切手の罰を憶えている。幼年が大事だった。
北航路に積載された多くの衣裳箱を想う。
片端から箱を開け 奢侈の歴史を嗅いだ。
小説と香水がきらいで針穴もとおしたが。
往復の穂というものが内耳にわだかまった。
「手紙になってよ」、愛語がわだかまった。
針穴の向うに約束がある何という空間。
わたしらは机上の砂礫を歩き前方に執した。
ペヨートルでおのれを減らす感覚が羅針。
泉をみつけ簡単にヌードにもなったが、
じつは自星を脱いでいた。躯を梃子に。
自星の盃をも 蜜のこぼれるまで傾けた。
売却だ、魂の尽くされる道に背が横たわる。
美しさなんて瞳に乗せられた蜘蛛だろう。
精のあかしが 動物性の星のようなもの。
他慰はそこをさわる。鉛直も替えられる。
わたす腕が橋となる 輝きの室内もあって。
等高線以上の何の見栄えでもない私は、
「ただの温度になれ」と命ぜられた。
そうして水銀の口が水銀を呑む。37度。
淑女の要件はすくなくとも二季節の融合だ。
とりわけ春と夏が重なる場所のゆらめき。
そんな境にやがて藍の雨もふるが。そこ。
麦穂が子ではなく黄金を懐/胎して。
忌みの解/体も得られた。見渡すためには、
見張塔を葡萄の地へと誇らかに走行させる。
収穫前だが 掠れた時衣も数々読まれた。


