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緑について ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

緑についてのページです。

緑について

【緑について】


今年の花火の眼目は
火薬の「緑」発色だそう
はかなや暗さの境を
幽玄へかえる謀りごと
(信長が最期に見たものを感じる

「流れる記憶」を記憶するようだ、
肝臓の紫/胆嚢の緑/体内花火
白昼の夏ならいつも行く手を
規格外の緑が気ままに炎えていた
触媒され、血の胆汁化あわれ
(「踊らば踊らず」の深意とは

その緑を犬の花火師たちは
裏側から夜空に閉じようとしている
「何かが死んだ」「このことの縫い」
祝ひ・さきはひ、禍ひもみな消える
わたしもまた竹薮より大きくなって

家主が眠るそのあいだこそ
召人たちの悪戯のとき
時間を停めてギシギシと
信を機械に変えるがこのみ

「こびと」の正字に変換できぬのなら
「矮小」と打って一字バックスペース、
そんな知恵だけ緑色になって
一切の閑暇も覆われてゆく

それで額より小さな庭に累卵を置き
終わった花火から下ろす塊の鉛で
殻を割らず中身だけ潰す技も競われた
小ささと大きさの境をかえるので
いつも家の見取図が書けないまま

尻尾の夜が 雨のように焦げる

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2007年08月17日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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