可愛いおばけ
【可愛いおばけ】
《交接に錆びて
やがて詩話となり皺となっても》、
そこに「混ざって」あるものが
いつも「おばけ」のたたずまい
(未来函からとりださなかったので
すごい ぼろぼろだった)
そこからは生も明滅する
たぶんこんなふうに前田英樹が
樹にも託して書いていた
(白昼そんなふうに読んでしまった)
縮めばまた膨らむのか
夏の終り知る ふとしたこころ、
夏の終り知る ふとした犬の陰嚢、
宇宙大に考えるべきなんだろう
とっておきの果実とりだして
割符併せするカタラヒの只今
うってつけの過日とりだして
貝合せするララバヒの只今
悪い生き方の二重国籍も
刻々の突端でシワヤセなのか
《アダプタのコード噛んでたら夕方
胃が伏して蝉落ちて死んだ。》
斜光世界、聴えないほどの大音響
この身密が四囲にもぼやんと拡がって
すべてが「潜在性と同じなのである」
可愛いおばけといる暮れ方には
色塵や声塵も ほぼ無限に流れる
なんだこの宇宙の風向き、
十界にひとつ足りない、
九界や旧界かもしれんぞ