バス停考
【バス停考】
《立ったまま沈んでゆく塔》
のかわりに、(花弁の流れ)
春先から昨今までの沈みが
ここに猶予されているのか
女房とは一日乗車券で
バスの終点から終点を乗り継いだ
城東に乱立する銀の狼藉もみた
南砂町の巨大 商店街はどこ
花売りは 《微笑する井戸》はどこ
見上げれば天心も引き絞られて
疲れた真夏の真夏、
その黒い底心を指針している
怒りにもう躯が重たくなって
昨日みた白鷺を微醺にはなち
週末をひたすら寝てすごす
商店街はどこ――自問自答が残響し
《剖かれたウヲかいまみた》《夢のあと》
この世のちいさな足溜まりとしては
立て続くバス停も恣意にすぎる
ただ通過の通過を謂うのか
浅草雷門-平井乗り継いで、
平井-東大島乗り継いで、
東大島-門前仲町乗り伏せて、閉じた瞼に
富岡八幡前の古本屋消えている
《九界に九官鳥充つ、虚辞ばかり》
たままん句会の題詠をふと考えてしまい
もうわたしはアダ わたしはアザ
天の仇 字十二番地
極点で息を切る、
伸びたつはものの