辻にしてY字路
【辻にしてY字路】
辻にしてY字路、俺の形状は。牛車ころがるひと春を泣いた。
瑞鳥の白い声帯もつゆゑに湖底棚からの弥撒曲にそぞろ
ハイネックになかば縊死した諦念がきれいだ、鴨の愁ひのゴディヴァ妃
肺尖のしろき焔を誰に告げむ芒野荒れて、岡井愛あれて
凍る斜面を否認しつづけいづくにも降りずの三日がひとつの時間。
行列喩とふもの暗に構想しひとりのみ身ぬちの列なりを解く
肝に脾が膵もがならぶ充実を春とおぼえて坂を下りきぬ
眼に鼻が眉もがならぶ淋しさを秋とおぼえて川にわが沿ふ
など頭(づ)には耳順ひてさまよひの位置刻々と草の中なる
絞めた鮫かず知れず時に浪恋うた錯誤の俺が――したたる上陸。