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栗の花その他 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

栗の花その他のページです。

栗の花その他

 
昨日は女房と
JRの「駅からハイキング」で
埼玉・上尾近辺をなんと15キロも歩いた。

このところ雨か曇天の
薄ら寒い日がつづいていたが、
雲がとれて南風が吹いてみると
もう夏の陽光で気温がぐんぐん上昇し
女房などは日焼けでひどいことになった。
僕も完全に一日で土方焼け。

しかも脱水症回避のため
もっていたお茶の水筒はおろか
ペットボトルのお茶も歩き歩き飲み続けたら
全身が滝のような発汗、
からだ(細胞/皮膚)の浸透膜がバカになったような
水分の流出となった。
そう、からだ一個が水分往来の
単なる媒質となったよう。
さぞや老廃物も一緒に流れ出たろうが
おかげで着ていたポロシャツは
運動部在籍の中学生のように
恥しい汗ジミだらけとなってしまった。

上尾は西口東口どちらが表駅かわからない
特性のない街。
街道沿い、農地を宅地に変えて
曖昧なベッドタウンが延々つづく。
それでも西口はある程度進むと
日産ディーゼルの企業城下町となる。

歩行コースは延々たどったその日産通りを
馬蹄寺という寺に行くため旧道に折れて
ようやく旧い武蔵国の面影が得られるようになった。
農家の大きい区画がつぎつぎ並ぶようになり
丁寧に庭もつくられていて、
この季節は、紫陽花が丹精に育成されている。

紫陽花は色のつきはじめ。
ただ、なぜか眩しい白珠が多い。
以前の印旛沼付近が、紺玉の多かったのと対照的。
それではげしい暑気と相まって
美しい植物世界全体が茫然とした幻となってくる。

ウォーキングの最大の目的は
上尾・丸山公園の湿地にもうけられた
大量の株の花しょうぶ園だった。
白、紫の花が、周囲の紫陽花の青に囲まれ、
たしかにその全体は
この世にありえない神の郷にみえてくる。
美姫の幻の裸身が湿地をとおりすぎてゆくような
どこか東洋的・神秘的な美しさだった。

そこにゆくまで、
荒川上流沿いの草原を歩いた。
川越市との境目となって、
草原はだんだん牧草地に変わってゆき、
ついには実際の牧場、榎本牧場にいたる。
その近辺で、朦朧とした煙のような
渋い黄金の花を咲かせる栗の木の数々に行き会う。
花粉が襲ってきそうな鬱陶しさだ。

栗の木の花は銀杏の実とともに
精液臭の代名詞。
近づいて花序の実際をみる気がそれでしないが、
集合性と細かさの向こうに霞んだ花々は
おそらく花以前のプリミティヴな形状を
かたどっているのではないか。一句。

花栗や吾(あ)に似るものみな薄くして

それと歩行のまにまにみたのが
おびただしい紋白蝶だった。
蝶の数多く舞う風景には変な電導性があって
風景それ自体が発狂しているようにもおもえる。
脳がじかに撫でられてくる、というか。
さらに一句。

白蝶あまた現世は狂ふこと多少

ともあれウォーキングは九時にはじまり
昼飯時間を挟んで二時ころ終わった。
結果、疲労困憊のきわみとはなった。
上尾西口ヨーカ堂前の喫茶店で涼む。
これが喫茶店の理想のようないい店だった。
店内が広く、明かりと室温がちょうどよく、
流れるジャズの気もきいている。

馬刺しで精をつけたいとおもったが
帰りのデパ地下にはなく
代わりにそこで鱧をかってしまう。
それを道の途中で買ったトマトなどとともに
夕方の酒の肴にして、あっさりと寝た。
その前に風呂で、筋肉痛をとった
 

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2009年06月08日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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