遅速
【遅速】
かなしみと遅さに関係ある夕にゆつくり光りだす星ひとつ
天使性と速さに関係ある朝はからだを蜜がしづんでいつた。
遅速すらこの天体の相対か。――下火のぼくが来ぬ人を待つ
につぽんのをみなのはだへ倭文(しづ)みちて森のひるまもたぬしうつくし
きみの壇ノ浦にしづむ蛍火が ひと夜で消える源氏のぼくが
花栗のこがねに揺るるまひるまは臣籍降嫁の譚もただ褪す
藍いろの性混濁の眼でさへも統計どほりの傾向、惜しい
女などみんな愉しき菌(きのこ)だろ。その影も僧帽のかたちでひらひら
男の精しぼり滴する膝下にて短歌の七七、あをく匂ひす
川からのひかりをもつてゆきかへどたえず蹉跌の短歌球面。
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――例のごとくの日録十首。
今日は午後、前期試験要綱用紙を出しに学校へ。
それだけの一日になるのも厭なんだけど、ね。
女房は今日、帰りが遅いというし
(こんなときに待つケータイ電話だ、
あ、そうそう、詩集刊行計画がついに現実裡に走りだした
(こちらはいずれ詳しい報告も可能か。
乞うご期待、