自損事故
【自損事故】
異教邪教、もうぢき桃の季節なら桃もて自損事故をセクスを
スピードはバイクの先を乗つてゐる → ※手と手袋の関係参照。
「夏帽の国」と華南を呼んでみて、そこにも火人がゐないだらうか。
規定への経路が無限とみえるとき自己外周も夏もきらきら
「草の人」「流木の人」娶はせて未明は豪奢に手許が趨つた。
上すなはち政則-絢音をくつつけた。偶然かいま崖、草だらけ
あきつゆく上尾の川の夢どきは秋にじむ日も牛に耳あれ。
滞洛し頽落きざすこの狭(けふ)をのちの生(よ)として草になるまで
インフルエンザ猖獗をもて南球が取沙汰された星のよろこび。
長谷川を砕いたその日の夕方が藍色だつた肝のごとくに。
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またも短歌日録。
冒頭二首は江口洋介のバイク事故が発想源。
ただし「コクトー風」をそこに混ぜてみた。
《インフルエンザ》は今朝のニュースから、
《あきつゆく》もこないだの日曜、
女房とした上尾ウォーキングから。
そう今回は生活詠の乱打、というわけです。
(――ったく、
ウォーキングで鼻の頭が日焼けしてしまい
トナカイみたいで恥しい。
昨日は池袋ジュンク堂の前で
前田英樹さんとばったり鉢合わせ。
この鼻を奇異としてみられた気もした)
《「草の人」》《上すなはち》の二首は
その池袋ジュンク堂で買った松岡政則『草の人』と
川田絢音『流木の人』を順に興奮裡に読んだ今日未明の経験から。
こういうと生意気かもしれないが、
松岡さんの詩は発語の呼吸がすごくよくわかり、
自分で書いたものかとすら錯覚してしまった。
同語を重ねるやりかたに
緊張に向かわない照れ隠しがあって共鳴してしまう。
語の品詞に仕掛ける罠も美しい(嬉しい)。
そして彼のいう「草」の多元性が
自分の目標としても望見される。遥かだ
(いまごろになっていうが、
この詩集が僕にとっての
06年度ベストワンだったかもしれない)。
いっぽう川田さんのは
ミッドナイト・プレスから出たばかりの新詩集。
ほぼ40頁と分量が少ないのに、
松岡さんにした、するする読みとは逆に
噛むようにして読んだ。
読んでゆくと、えもいわれぬ複雑なイメージが湧いてくる。
相変わらず「怖い」詩作者だと畏敬を継続した。
歌中の「崖」は絢音詩中のふたつの「断崖」から。
その『流木の人』中、
「いいお天気」だけ部分引用してみよう(凄いぞ)――
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ひるがおの這うところ
小石のそばで
互いにあぶくを出しあって
糸の管を差しこんでもつれ
蝸牛にあふれるあぶく
あたりは鏡のよう
島人は
居たり居なかったりする
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本日夜は、愉しみな「かいぶつ句会」の集まり。
ついでにいうとこの会は多士済々。
アーティストとして榎本了壱さん・萩原朔美さんがいるほか
声優/DJであの白石冬美さんがいるし、
女優では蜷川有紀さんがいる。
サブカル系でサエキけんぞうさんがいて、
詩人の大御所では八木忠栄さんがいる。
あ、若手歌人では笹公人さんもいる。
その他、榎本さんの粋な旧知のかたが目白押しで
会員トータルを落語家の金原亭世之介さんが引き締める恰好だ。
前回時、世之さんがこっそり教示してくれた
句会投句心得を参考に今回僕は投句してみた。
さてどうなるか。
僕は前回から榎本さんの手引きで、
この句会に参加するようになった。
そこでの句はいずれ発表することにしよう。