前方後円墳
【前方後円墳】
前方にして後円のきみゆゑに 性愛パズルも墳然とする
蝶道に往く手きられてゐたりけり。蛾性より来る梯子を待つた。
風に鳴り焼けば焦げたるかをりする黒レインボウを骨肉といふ
鯰ひげ抜かれて逐電した先で(なゐなゐ)ある子と地震に遭つた
かげろふの数時間とは はらわたの非在が展く無身の迷路
はなつから湯疲れてゐてアヲやアカの温泉主義で眼路も霞んだ
蔵〔ざう〕と鳴る乙女を寡黙に仕立てあげ一身鏡のなかは宝界
指なかの金剛力を、朽ちた葉を割らずに掬ふ風気にもちふ。
「女流」の語に滔々と天の流れ見て 天、氾濫が女禍の国かな
一冊を伏せて亡き影さきどつて失の潮目を読むやうな眼だ。