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昨日は厄日だった ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

昨日は厄日だったのページです。

昨日は厄日だった

 
 
昨日はミクシィ日記を書いたのち朝寝、
その後の在宅時はまったくマイペースですごした。

まずは営業猫さんお薦めの
現代詩文庫『大野新詩集』を読む。
すげえ。陰惨がのちうちまわっているのに
修辞が引き締まっていて
読む眼から血が噴き出そうだ。
日本の暗喩詩人として最高峰じゃないだろうか。
その詩法が彼の辛い人生と引き換えなのがむごい。

細かく引用して分析したいが
これから二度寝の予定なのでそれはまたいずれ。

その後、卒業制作として提出されている
学生(女子)の戯曲を読む。
太平洋戦争を扱った、
すごくわかりやすいラインの悲劇。
すべて既視感なのに不覚にも泣けてしまう。

ただし問題は「戦争表象」。
戯曲なので銃後が描かれ、
戦争批判や葛藤が俳優の科白として外化され
実際の「戦闘」は
照明とオフ音で抽象的に描かれることが多い。

表現媒体的にはそれでいいのだが、
何か突き抜ける措置がなかったか
(それを彼女は補助論文で書くことになるだろう、
黒木和雄さんの晩年の映画を考察してはと示唆している)。

その後が句会。
厄日とは、まさにここで生じた。
といって対人関係に問題があったのではない。

「かいぶつ句会」は榎本了壱さんの事務所がデザインする
すごく洒脱な同人誌を句会ごとに制作、会員に供するのだが、
そこでなぜか僕のエッセイが抜けた。一種の落丁。
たんなる編集事故だ。

次、句会用に出した自分の二句が一点も集めない。
これは金原亭世之介さんも同じ。
僕のは理由がわかる。
場の特性に反し提出句が耕衣調すぎたのだ。
これは学校の演習の影響か。

かいぶつ句会では洒脱な季語俳句に
人気が集まるので
今後はもっとその方面へ研鑽を積もうか。

ということで、まずは脱落した僕のエッセイを下にペースト
(改行なしの読みにくさはご勘弁)。



【重なる俳句】


考ふる手に侘助の手がふれる
加藤郁乎

 前衛の金字塔ともいうべき加藤郁乎の処女句集『球体感覚』(59)に「重なる」を用いた句があったと記憶していて久しぶりに頁を繰ってみた。該当句は《薄氷の有無の重なりうすれつゝ》、ただしこれは有名句目白押しのなかであまり取り沙汰扱されない句だろう。「薄氷」の読みが「うすらひ」だとして「う」の頭韻連鎖だが、句想が淡すぎて、重なっているんだかいないんだかわかりゃしない――といったマラルメ的「なり」を句に持ち込んだ。が、そのぶん悪戯心も足りぬようだ。確認すると実際は「重なり」の主題を感じた別の句群があった。列記。①《花に花ふれぬ二つの句を考へ》、②《半月のラヴェルの左手のひとり》、③《考ふる手に侘助の手がふれる》。碩学・松山俊太郎の『ご開帳』をあえて探索せずこの①から③を眺めると句境はひとつ、という気がする。当時の郁乎にあって自身はプラトン的分身の「離れ」で、その合致こそが句作の瞬間と捉えられていたのではないだろうか。むろん俳句の骨法のひとつが二物衝突であるかぎり、一花に別花を触れ合わすことが俳句発想ともなるが、郁乎句は自体的に増殖してそれが一句に収斂しない。ラヴェルのピアノ曲をベース音の左手だけで弾く寂寥。しかしやがて恩寵のようにその考える手にまた「俳句侘助」の手が「重なり」、句作なり演奏なりが促されてゆく。となって句作は「一人交合」のようなものとなる。だが「重なり」は「懸隔」を前提してもいる。その証拠を前衛ついでに、夏石番矢の句に見た。《二重星イエスの右は火の左》(『人体オペラ』90)。




次に当日用に出した計11句も出してしまおう。
最後の二句が句酒会用の投句で
一点も集まらなかった、曰くつきのもの。




茫然や薄となりて手折らるる



金魚田に分身置きてつるむのみ



夕映や異世界の朱も鼻に来ませり



悪いことすれば伴侶に星殖える



白蚊帳で泣く白おぼろ白少女



鰯腹叩き見る空の秋祭



蜉蝣に斬られはらわた始まるか



押し倒す女のなかに日章旗



酔うて死に我と我うち重なりぬ



露の世に醒めて甘露と共にあり



毛の生える絶対神も穀物か




最後の二句、僕自身は好きなんだけどなあ・・・
 
 

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2009年10月17日 現代詩 トラックバック(0) コメント(2)

女のなかに日章旗 は面白いですね。
押し倒すのはどうかなぁ(笑)

木の実降る日章旗てふ貞操帯

2009年10月20日 千晶 URL 編集

「星条旗」くらいに逃げたかったんだけど
もろ「日章旗」に突き進んでしまった。
60年代末期のATG映画のような気分(笑)

「日章旗てふ貞操帯」、こっちはヤバイなあ(汗)。
日の丸の赤がリアルに像を結ぶ。
これは女のひとでなければヤバイ句。

いま廿楽さんから送られてきた
「生き事」五号、読み始めました。
まだ廿楽・宇田川パートの途中で
千晶さんのとこまで行ってませんが

「生き事」、おもしろいなあ。
同人の持ち頁が20頁で
そのなかで誰かとコラボせよ、
って指令そのものがおもしろいです

千晶は千秋だったんか・・・

2009年10月20日 阿部嘉昭 URL 編集












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