梯子語り
【梯子語り】
映像にしえない
「犀と蝶のアイノコ」を
飲み屋で交わす
風説に訪ねる
ひらっ ひらっ、
いまし いずれも
われわれの「訪問記」
きらめいている輪郭の
ことではないだろうか、
「鰻的」もアイノコも。
改行屋はずんぐりと開陳する
なら「ぽりふぉにぃ、ですよ」
《空は行かず 足よ行くな》
公共施設ではたらく
奇妙な現代人を眼中に
こっちの睫毛が
古事記になる。
虚詩を燔祭にして
数々のタケルもほうむり
撥音の群をツッツッ、と
跳ねてゆくと、
きっと川に渡した梯子だな、
橋になるまえの意味なぞは
《日本という島の
原風景を動物化すれば
それは鹿だ、》
むろんわれわれは雁のような
カッコいい断言なぞ封じられて
改行屋もいつしか
象の背中に乗り 遠く喋ってる