てんまど
【てんまど】
てんまどをあけると
ふってくるひかりで
へやのうつろがひろくなる
木のかおりがして
みおろした自分の腹にも
みほとけがいる
時間でないなにかが
あふれでるように
正午なのだろう
ひかりの滝にうたれている
身のまわりはひきしお
はなれたくりやでは
伴侶が菊を煮ている
おるがんの秋だ
うみのような
ものおとをきいて
きぬずれのゆくえだけ追う
ものみな砂かもしれない
てんまどからは
菊のけはいもふってきて
黄色にみえる
おのれの五臓も
ひかりというものはしずかだ
てんまど うつろ 身 わた
その経路で入ってきてしずかだ