FC2ブログ

お知らせ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

お知らせのページです。

お知らせ

 
 
今度の日曜日=12月6日、
四谷三丁目で開かれる映画上映会で喋ります。

かかる作品はなんと珍しい!
黒木和雄監督の初期PR映画、
『海壁』『わが愛北海道』の二本。

黒木監督といえば晩年の戦争三部作、
『父と暮せば』『美しい夏 キリシマ』
『紙屋悦子の青春』で圧倒的な大輪を咲かせ、
その後、急逝を惜しまれた日本映画界の至宝ですが、
もともとの出発点は岩波映画=記録映画でした。

晩年三部作は戦争批判とともに
演劇的手法が大胆に導入され、
人間の当為についても深い洞察がみられます。
また、「決定性のない画面」につき
細心なアプローチをすることで
俳優を徹底的に解放した点でも銘記されます。

これらは記録映画の本来的多元性を
若き黒木さんが追求した果てに実を結んだものでした。

当日の上映作品『海壁』では東京電力が
横須賀に火力発電所を建設する過程が捉えられ、
しかもそこにアクション映画の感触がまつわる一瞬がある。

あるいは『わが愛北海道』は
題名から察せられるように
デュラス=レネの
『ヒロシマ、モナムール(24時間の情事)』を下敷きに
PRすべき北海道の化身として少女を出し、
その対象への意識変化によって
北海道の実質を浮上させるという意欲的方法をとっていました。

とうぜんこれはあの美しい『とべない沈黙』、
その主題へとつながってゆくものでもあります。

むろん「PR映画」は上の記述からわかるように
自治体や企業から課せられた企画で
そこでは作家的自発性を実現しにくい。
よって悪戦苦闘して、
作品組成にPR情報を超えた何かをまとわせることで
若き黒木さんは「主体性との格闘」を演じたわけです。

その背景には、ドキュメンタリズムとアヴァンギャルドの融合、
という花田清輝の掲げた表現理想もあったはずです。

その知的蓄積と実作蓄積、
さらには黒木さん独特の目移りと雑食性により、
黒木さんはやがて「複数性」の作家となってゆく。

90年代の作家的不遇ののち、
『スリ』と戦争三部作を、
同世代の作家の活動頻度を突き抜け、放てたのは、
黒木さんが自身の「複数性」を
慎重に統御する技術を磨いたからです。
それで「叡智」そのもののような作家となった。
むろん偏狭な蓮実重彦的価値観からは無視されていますが。

当日のスケジュール、上映場所などは下記しますが、
僕は発言の場では、中村のり子さん
(すごく優秀なドキュメンタリー上映運動者)の質問によって、
上映される作品のほか、
土本・小川とは乖離し、
松川八洲雄とは親和してゆく黒木ドキュメンタリーの本質、
それと劇映画までふくめて
黒木さんの不思議な作家性、集団創作性を
さまざま話すことができたら、とおもっています。

まあ、僕は『映像作家黒木和雄の全貌』を
映画作家の日向寺太郎さんと編集した実績もあって、
ここ十五年は最も意欲的に黒木さんの凄さを
伝えた評論家でもあったわけでした。

珍しい上映なので是非ご来場を
(現状、予約満タン状況らしいけど知るもんか--笑)



「黒木和雄とPR映画」
12月16日
@四谷三丁目「Latitude」
電話:03-3353-7717
http://www.latitude-p.com/
参加費=1500円(ドリンク付、予約は100円引き)

13:30開場
14:00『海壁』上映
15:15『わが愛北海道』上映
16:20阿部嘉昭トーク(インタビュアー:中村のり子)

じつは僕が映画上映スペースで喋るのは久しぶりです。
ポレポレ東中野での『日本心中』続篇で
大浦信行監督と対談して以来だなあ。

もっともこないだ、立教新座の映像コンペで
壇上コメントは延々やったけど、ね♪



なお、僕の出る翌週の日曜日には
今度はカメラマン大津幸四郎さんのゲストトーク、
同じ場所、同じ開始時間で、
「黒木和雄とPR映画」第二弾として
これまた珍しく必見の、
『太陽の糸』『あるマラソンランナーの記録』が上映されます!
 
 

スポンサーサイト



2009年12月04日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












管理者にだけ公開する