二階ぐらし
【二階ぐらし】
ぺーじのなかへ暮らしている
ここは水面のようにもなり
二階屋のようにもなる
(「階段の存在しない
二階に置き去りになった」
そんな魂の書き方もあった)
畳へ芒をまねきいれる
その「招」の字の本質的な怖さ
いつも自分の躯を
ふくろ状にとりなして
ふくろからは唐黍をだしている
これは袋でも復路でもいいのだが
亡き韻きのすぼまる口は
用のない嚢に如かない
おかげで咳をしてみるだろう
そういうのが、冬の、懐かしさ
花粉将軍をまつひともいる
よこすかの、どこかに
あいさつのつもりで
唐招提寺のかたちをそこへ送る
いたる細道が行だとして
いつも奥にはほのひかりの
期待めいたものもあった
最後には観音の裸に出会いたい
そういうことにみのったな
みづ紀の「美代子の満開の下」は
薄荷を噛んでかんがえる
かんがえるのはうらがわだ
そういうさみしさだ
中断は いつの場合も
三階建ての無防備をおもわせる
建っているだけのおまえに
普請中のみんなは
平たい寺院をこころざして
土地でないものをひろがってゆく
読経は中断なく手渡された
みんなに、陣地というものがある
きたる年号は
はくめい だとおもう
釣り合わなさは
手塩にかけて見えなくする
そのための塩を
いまからみがこうと
二階ぺーじのなか
ひかりをおのれに
あてているところだ
世界とは軒先
恋びとは待てよ
恋びとは待つな
なにも難しい語彙を撰だけが一流の詩人ではないと思うのであったが、 まぁまぁイイと思う 。
2010年02月10日 パコルカ URL 編集
ありがとうございます。俳句っぽい語彙を
意識してつかいました。
現代詩特有の語彙は
恥しくてつかえないのです
2010年02月10日 阿部嘉昭 URL 編集