比類のつばさ
【比類のつばさ】
ちゃんと書けよ、傲慢
門だけが林立しているぞ
どこが本尊かわからないのが
枯れ多い冬景色というわけか
いまどきの梅木は線彫刻
蕾もとおい汽車にのって
それ自体のものなど何もない
くもりのそらは
記憶すら僧をなすが
ばらもんどもの百鬼夜行
山海経なら経文でもない
怪物性がかたむいて
傾斜怪物となるさみしさ
エサハドコダ (空中、
辻というからには
哀しい捕獲もあったんだ
犬と犬のあいだに
連結上の嘔吐があったんだ
そんな旧いサーカスを
肘を曲げきった腕で搾る
身のひねりから出る火花は
水面に映るひろがり
かげろうのようになって
ふたりの埃っぽい犬を
眼中の橋にふれあわせる
むらさきなどが分泌された
撒種のあかるみ、だろう
だからひと日が迅速
懐手を千手とする気分には
往年の藻のくにがゆれ
脚そのものも流れてゆく
割符のさそいがあっても
旅中の色いろに派手はない
原基は比叡と掛け声もある
つぶてとつぶてのきそい
空のいろが詩のように変だ
もう溢れだ (やんなった、
もう溢れだと
比類のつばさが飛ぶ
あんなとこを飛ぶ