砂糖壷の唄
【砂糖壷の唄】
思い出をしていると、
そこに何か難しいものが
入ったとしても気づきません。
頭を水平にしようとしても
斜めをあらわしてしまう
魔物などもあるのです。
おかげで口のまえの結びが
砂糖だ。ほどけだす。だから
壷になった自分もおもいます。
きっと月光にひかっている匙です。
いがいにも匙と些事の同音です、
自分が思い出の鍵にしているのは。
戸口でまちかまえているのは
足もようのトランプみたいな。
絵札、数からもちあがったものです、
それが幾ひきかの猫の形状を
伴奏にしてつれだしてゆくので
むずかしさを難しさのまま忘れます。
順序はこう、入る・寝る。
とびこむ前段もあるのかしれない、
たてじまに入る・寝る、それだけ。
数がきらいなので
思い出はかぞえないのです。
ひそかに瀧をみています。