山賊
【山賊】
髪に蔦なして 渦を生じ
鳥をだます者となった。
ジキニ拡ガルケムリ、
樹々のきざはしに目白を遣って
目の周囲を黒くせしめた。
鶺鴒を 飛翔の瀧にもした。
竹林ではない、それは隙間だ。
見ぬすずのねを振っている。
くびのわがひえてゆく。
托卵の気配。世上は只事でない。
けっきょく行も輪だから
半閉じの魔法にさだめ
つぎ来る者にひからせる。
ある日あるきがこだまする。
そのように川辺から芹を負って
自らの眼を騙していたのだ。
斜線数個を鴨に感じる。
眼底に舌が吊りあがる。
鳥のくろい、美貌になる。
偽言ハ翻ル馬偏ナノデ
はるの馬車が往来するだろう。
慢心に円を。空はひくい。
もう陽光に影がいくつかある。
そのどれかはどうでもよく
来るものは今ニタイシ多重だろう。
梅が散っていつも多重だろう。