海辺の、永遠の、野ばら
【海辺の、永遠の、野ばら】
《夢であればいいことばかりだ》
――湯川紅実「水も、その日がおわりの日ではない。」
(「酒乱」第四号)
ホラここがネオテニーのばしょ、
階段状をなさない紋章です。
あたまのどこかは恥しくていえない。
口にださない声みたいなもの。
立ちどまるときには遺影をはさみ
からだ全体でS字をつくって
波に濯がれるがままになります。
筍の内側を想っていますか。
むしろわたしは懸命な葬儀です。
認めないものがある、カラクリその他。
肘を梃子に立つ、などができず
人間機械という謂れも信じられない。
もすりんになってしまいたいです。
平らであることを踏まれたい。
肝腎のときは寝てばっかりです。
薔薇なのだから
夜、くちづけはします。
前景とするのではなく
くちづけた相手を背景にするのです。
そこで多くなった少なくなったを測ると
鋸歯の波際もカラクリになってしまう。
だから実際は自分を噛んでいます。
おかあさん、
夢であればいいことばかりです。
――港町、右腕のない人びとの往来も。