イメージは踊り場にいる
【イメージは踊り場にいる】
横たわったからだの底を
銀いろが刷〔は〕いてゆく
ただひとつの輪郭が
そうしてあやうくなって
自分が春光の壜ならば
口先から、きのうの水を
吐いているだろう
折ってうまれる草府、
おりがみの奥に
さみしい灯りが生じて
寝そべりはそれを凝らす、
聴いてもいる
相手を分身の場所に
置けなくなっておぼえた
階段中、
踊り場のしずかなこころ。
すこうし息を切らして
裏返しになったものが昇る
自他のどちらかでも
魅了はたしかに乱脈にある
昇りをしているそれが
ことさらに重力をうしなうとき
春からは、からだではなく
衣がうまれだす
いろいろの木陰を。