短歌演習のために【2】
薫風はそもそも人の影なれば大楡のもと数千〔すせん〕の者ら
湖〔うみ〕ごとに胸より骨をとりだして憂曲を吹く女〔をみな〕とならう。
レアチーズケーキのレア部に匙を入れ新鮮はなんと暗い奥行き
郵便夫がゆきくれに見る葉のやうにことばは咎〔とが〕を取巻いてゐたい
きみの前に佇つてゐるのは香木の匂ひ涸れたる春の棒、ぼく
うつくしい死は一盞〔いつさん〕のうま酒の底にひろがる白柔毛だらう
丘の字も丘といふには足りぬけど、この抱き合ひも遠くから丘
弁明をしながら腸〔わた〕をひもといて屑に似るべくきらきら死んだ
枇杷を乗せた掌〔て〕のおもたさを忘れない。きみのちちぶさつかむ春夜も
湯のなかにわたくしがゐて、わたくしは奇病の脂、浮きやすくして