静動物 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

静動物のページです。

静動物

 
 
【静動物】


へんな夜中に起きていて
むらさきの珈琲など淹れていると
家のなかに秘密の通路がふえる
子どもの想像は死体になにが加われば
からだの性の踊りになるか
それを情の行方に知っているのだけど
そういう算式がキーボードのうえに
ほほえみながらふえてゆく
あのころをあらしめる脳髄も
偉大とはいえ身に添えば卑小で
それは無内容が典雅な規則にすぎない
一個のからだは幼年を巻けずに匂う
「かおが激情で変化したことはない」が
朝が忍びこむことのない台所に佇って
スープ味の珈琲を退屈にのんだ
煮られたおれの骨のうまさを
ふたつの意味のぜんまいと感じて
舌はおとといの字が砕けるにまかせた
いくども指摘された球根が
内面のがらす質、その一部だったとして
「水槽のようには生けてゆけない」が
こうして夜中を歩いているのはなぜだろう
辞書内の微風になる、シンクのほとり
夢想の百合根鍋も噴きこぼれている
 
 

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2010年05月24日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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