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短歌演習のために【6】 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

短歌演習のために【6】のページです。

短歌演習のために【6】

 
 
をちこちにはちすの花のひらく国。その「をちこち」が幸のあらはれ。



まひるまに眠たいきみは池蓮をうごかす亀とはつか向きあふ



涸れ声にやはらかさありその隙をことばの肉の在処と聴いて



眼疾のきざしは葉裏ただよへる光のかけらうつくしきかも



廃団地がなどふさふかは問はぬまま敗軍の霊、君かくあゆむ



写真行為が欲の現像でなくなつたことに激して曇天を撮つた



階段の踊り場だけでできてゐる浄土などなし、久我山住宅



弁天の悋気あらたか離れあるくふたりの隔てに木漏れ日を投ぐ



あるいはまた茶店の露台、眼前のわかめうどんも木漏れ日のなか



しをれゆくあやめ群れ立つそのしじま名をもたぬゆゑ廃絶地らしき



細魚〔さより〕毟る宴しろきかなこれもまた細さ嘉〔よみ〕する一上水行



吉祥寺にたぶん吉祥あるだらう魚と星があればさうなる



蓮の葉に圧されてゐたのか海藻を食〔を〕してばかりのその日も大悲



翻意とは足許の羽根みだれるを自己狼藉となげいた末の。



押し倒す夢きらめけば野天駐車場ただに君へ逆〔さか〕さす



触知とは君の場合はこの掌〔て〕への星嵐暴圧、細密にして。



君に貸す黒ジャケットが罪障のやうに当夜の逢瀬を締めた



別れの日シミュレイトする唇〔くち〕じたい上下に別れ闇を隠して。



ヴァリエーションと何度言つたか本当は愛の選択肢のことだつた



卑劣さに裏打ちされた弱さなど。井の頭線不意に紫陽花へ入る
 
 

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2010年05月28日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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