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尾行 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

尾行のページです。

尾行

(これはmixiでは10/8の記載)

【尾行】


《この世の果てまで後をつける
その人を殺してしまうために》
女の行く道に沿っては
格子戸が無数に並んでいる

木から白糸が噴きでている
あれがかつての花の位置
「空」といわないために、
女の匂いが電線にからんだ。
――長い髪束を懐中にしてゆく

電信柱は木造で
ブリキの傘に裸電球、
淀へ淀へと 歌を懸けても
喉仏が暮れるのがかくも早い
《喉仏の代わりに踝》
だから少ない女が嫌いなんだと
夕光の直中 髪束を握り
懐かしい女をずっと尾けてゆく

否 女ではないだろう
それは風景の空漠で
厚みすらないのだから

たいらに展[の]せない
かげろふな何かなのだ、

夕空にこの移動が触れる
僕は晩年のグレタ・ガルボの
「ああ、この家だったのか」の話を
壇上でしました(とっておき、さ)
おかげで切通理作の角がぴくぴく動き
廿楽順治の縦もさわさわ揺れる

そいつらだって やはり
《一人と数えられるかは疑問》だろう

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2007年10月11日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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