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滝は各処に ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

滝は各処にのページです。

滝は各処に

(これはmixiでは10/10の記載)

【滝は各処に】


落ちるところが定まっての滝なのだ
だが女はきょとんとしている
わからない女の少なさを見ぬふりして
眼前では 茛のけむりにかえてみた

近さが懐かしさか、遠さがそうか
難問に出会えばひとも歩度を変える
いつかは雲の峰が背後でダアダア落ちていた

誰かが北区へ帰宅した
配置だって憂鬱をつよめて換えるだろう
《鏡の前にても脂肪のなき梨よ》
女の泣きそうな顔に梨の素朴をみて
白糸を引いて呼び寄せた、「おいで」

《部屋は五階だったから
ぼくよりたくさん沈まなければならなかった》
愛する女は横だが 女友達はいつも縦
縦のものを呪文で横にして
だが「田」の字は脳裡でぐるぐるまわって
自身の姿を点滅のなかに温存する
怒気が梨の香気よりまさって
ちょっとした室内通路を凌辱の畦にしたんだ

いつかは雲の峰が背後でダアダア落ちていた。

水洗便所で何度も自分を取り替えて
垂れ落ちようとするズボンを引き上げた
ロボットめく前面も設定を更新した
なのにいうなよ、限度のない愛を
「滝もゆっくりと落ちれば川」なんて。
とどこおった泪が汨羅になってしまう

ついに後方確認して
夢のなかでのように 凶暴に
投身なき汨に 投身をみた

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2007年10月11日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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