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轢死 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

轢死のページです。

轢死

【轢死】


もう毛細血管のように
鉄路もろーかるを
はなやかに縫ってはいないのだが
(戦前が消えた、
(猿田彦の最後のあしあとが

あそこも汨、
ここも汨と屈原し
くうかんをくるいでゆくべく
食卓へむぞうさに置かれた
ぽいんとおぶ「びゅう」のチラシとる
(朝から はらくちていた
(それに女房はいつも
この世を出たがっていた

どれどれ水郡線 釜石線 左沢線
さすがに血紅がいっぱい
最後の緑からそんなのが噴きだせば
いいしゃしんと網膜も沿わんとするよ

ひとが老眼鏡を買うのは秋、
という隣人のことばを
むねから紐ひりだし
水差しに添って憶いだす

せつなさや手許の橋を列車が渡った
みにちゅあの座にみちのく収まり

チラシ文言、《横丁へ、旅深まる。》
書けんな、こんなくうかんの折込は。
列車も手足だけ運べばいい
秋の真髄を列車と手足でわかち
たましひは野へ置き去りに。

この身がばらばらになれば
短日の花もそこに数本が咲くか

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2007年10月12日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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