吉里 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

吉里のページです。

吉里

 
 
【吉里】


読了のときには
いっせいに色がおとろえる
光量が自然に減る
気づけば今戸に
吉里も死んだ
おもかげが固まれば
生への鈍い憎悪を
雨滴に滲ませていた琴だって
たんなるむかし黄金虫
銀と呼びならわされたものを
遠望するよう読んでいた眼も
擲ったさきの闇を知る
天井に吊られていた浮草すら
そこが池ではないのに
回廊へ落下してくる
家ぬちには往来がつと消えて
きょうの雨 おもいでと交換に
一分の廃墟ができるだろう
鰭なき魚のながれとは
それじたい水流で
群論の自殺的な痒さ
情など読みきるものではない
情中の青なら読めない
ひとの匂いを嗅ぐのに手一杯だ
だがそれらも、もぬけた
ひとつの読了は
紫立った僧形がうすものになり
よそおいを心許なくする
  
 

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2010年08月06日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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