fruits ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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fruits



【fruits】


いくつかのくだものが卓上
手もとにあわくにじむのがうれしい
空気にしずむけむりなのか
白桃には霊性と甘露がまざり
それじしんがどこにも見当たらず
葡萄には消える房であることに
森林的なめまいを感じ
イチジクにはそのおびただしい種が
宝石状に鏤められている点に
おんなどうしの淫らをおぼえる
ひとつとしてつかめないから
果皮にあるこまかい水滴がすきだ
死後をながめるみたいにうっとりする
それであわいいろをたもちながら
果樹園を訪うまぼろしをえがき
わたしが青く着衣しているかわりに
白桃を無数につらなる房にしたり
その果肉に種の川をながしたりして
眼は何かの明るいはだかをみる
わたしだけにわかることだ
わたしの背後にはおもさがない
手もといっさいは奢侈品
静物をすべる優位のなかに
心身もはかなくめぐるのだが
わたしがいつも見下ろしていて
眼下に風がながれているとおもえば
その消えるまでは
記憶のようにただあるだけだ

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2010年08月16日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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