棚を考える ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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棚を考える

【棚を考える】


蜜柑の実るまちだったと
不意に気づいても
思い出は呂律がまわらない
空だって 見たという実感が
終生湧かないままだった

物書きには背景が紙と拡がるばかり
皺だらけのそこ、
トリモチでたどられた折れ線にも
奥ふかく鴉一羽が刺さっている
こんにちの、空のきぃきぃ

なんにも統べはしない、
愛の形式は でも手渡しに尽きます
どうぞこの糸車を発煙筒を。
自分を化かさずして何の死後想起か
鏡というすきまもすべて破砕した

賑わっている賑わっている
穫られ損ねた糸瓜が霊体となって
庭の棚状をぼんやりとゆれている
(謹啓――昨今、「棚」を考えています)
ゆれるものがやがて線となるから
予感も賑わっているというのだ
王冠をかぶらずして王
が往還音痴のままゆきかうから

ありふれる地上の乞食[かたゐ]なのだ、

一糸が別糸を待つ、
この緊張で裁縫師の手許も交易も
澄んでゆるがないだろう、秋は。

もうじきおわるよ――何が?
暗い白に暗い白をかさねるマラルメ型が。
「白から白へ、に移行なし」(校庭碑文)

2007年10月31日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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