霜のうた
数日、家をあけ
帰宅してみると
立教演習連詩は
ぼくの順番が来ていた・・・
さっそく書いた。
旅のおもいでをすこし盛った。
この連詩は班替えののちの
第二バージョンというべきもの。
第一バージョンは
さきに完成した旧C班から
アップしてゆきます。
数日後、かな?
アップ先はたぶんぼくのサイトのほうです。
その際はお報せします
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3【霜のうた】
阿部嘉昭
草千里 九重、いちめんの芒が
灰をかぶっているとみえるのは霜。
こころの灰を灰汁にする泪をいっぱいにして
朝にだけ現れ、やがて消えるおもいでが霜。
馬が炎えているなんの蒸気かいっしゅんのけむりがはしり
おいかけたところがしろく事後になっているのが霜。
星をかぞえるようにしてつみあげていった何ものかがあり
湯でつるつるになった膚を握りあっている一握が霜。
がらんとしたやちまたをとおりぬけると山茶花だけがひびき
旅のあかしに軒先へ置いてゆくのが、はがきいちまいに似て霜。
とけるってなんだろう容易ならざる生が里程標に縫われ
あれらまぶたすら刺繍しだすいちれつの擦過も、
つまり消えるだけの仄蒼いものも、
あらゆるあいだをうめる霜だろう。