裏返すまでの
【裏返すまでの】
てぶくろのなかのにおいは
毛糸のてぶくろをはめ
ひざしへそれをさしだして
ないぶにひものをしあげるように
ひそかにおいしくつくる
えらばれた五人だけの使徒を
恋のほのおにただよわせるように
毛糸のてぶくろを上にうかばせれば
そのなかのかくれた空もたぶん
五人とくゆうか恋とくゆうに
くさばなの香りをくゆりはじめる
かみさまを知っているとはほこったが
それも五人ぶんのすくなさにすぎず
だからてぶくろは往年にむけて
空をおおう枯葉などをひろう
このうらがえすまでの
一連のしぐさの 自らにふる音楽