You can never capture it again
【You can never capture it again】
ひのひかりの
浄化力をあびて
とうめいとなり
かげろうともなり
みずからみわたすよう
はいごの世界を
みずからのうちに
とりこんでもやすとき
レースのカーテンは
宮殿とも屈折ともよばれ
そこには死語ならぬ音楽が
おんがくのうちがわを
かなでつくして
終始きえゆくものを認じて
もうあまりがない
そのひかりにゆれる表面には
ちりばめられた
貴顕のあしさきが
たがいの譲歩によって
表面上の距離をつくるが
このように距離が
そのまま表面になり
ゆれているものこそを
稀有というべきで
おんがくはみずからを
めいていさせる
内部性への窃視として
ぼくらにはいつも
間接的にあらわれて
はんしゃするぼくらのからだを
いみなく複層にする
みずからへという
このほうこうは
副葬のしなじなを
いきながらどう
かたわらにおくか
そうした命題に
ずれこんでゆくので
あのカーテンも
きっとだれかのスカートの
かわりにゆれて
いきてきたことの
中空にきえた物質性を
むざんに、というべきか
さしだしている