楽人について ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

楽人についてのページです。

楽人について

 
 
【楽人について】


楽人は月桂樹のもとあぐらをかきながら微風につつまれてうかんだ
楽想=消えてゆくをいつからかかなでている。その琵琶が無有の器
だとして、ならばそのからだも無有の器だろうと聴きとるとき、そ
こでは彼の自分にないものこそが月桂樹のかげりや微風とともに彼
じしんに編成されていて、こつじきの様相すらその拡散と集中には
ただよいだしている。それが聴く者をちかさのやすらぎからおだや
かなミメーシスへといざないだすようだ。哲人にあらずして消えて
ゆく、ないものだけのうつくしいぼろぼろがそうしてかなでられる
ことで、消滅はまわりの者たちにもちいさく感染されていって、楽
人と聴衆、その退場のどちらが早いのかもまた、離れた場からはみ
てとれないが、しあわせの体験とはいつもちいさくうごく音の列と
してたったひとつの場所にああして匂うのだろう。楽人の訓え「そ
のときもあのときも楽音だから人みなは捲かれ、ただ消えてゆく」。
 
 

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2011年01月16日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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