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坂 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

坂のページです。

  
  
【坂】


坂のある風景には、その坂となだらかに連続する斜面もあり、そう
した斜面の真髄のように、坂道がひとすじの意志にかわって風景に
垂れ、往来によってそれがのぼりくだりの転会となって受容されて
いる。萩原朔太郎は坂にたいし二つの地平線が遠方から透視される
複合をかんじ、だからそれを数理的に愛したが、むしろ坂はそうし
た遠方透視を前提に、往来の速度がのぼりにおいて緩徐し、くだり
において加速する対照性の、いわばその発火から地上にうごきをあ
たえる。坂があることで早く暮れる場と晩く暮れる場が頂で隣りあ
い、その早い晩いが明けの場合は逆の結果をみちびかれることでも
真の偶成があり、たんなる遍満ではないものへと敬虔にしがみつい
ている人びとの暮らしからは、たしかに総和と傾斜の概念もしたた
っている。坂のえがくこの地上的な律動がさみしさをもって是とさ
れるのなら、坂はちかさと認められてもそのとおさが空間全体に投
影される自らを超えでたものなのだろう。坂をつうじ一個人のうえ
にとおくえがかれる転会の本質もそこにあり、だから坂はひかる。
羽虫のかるさで自転車が数台、坂道の夕暮をおりてきたので祈った。




松下育男さんが個人ブログへ一月二十日にアップした
散文詩「なくしたものを」は
私見では萩原朔太郎の散文詩「坂」の
松下さんなりの変奏だとおもう。

ふとその萩原/松下「ふたつの地平線」のあいだに
もう一本の地平線を引いてみたくなった。

それで上の詩篇を書いた
 
 

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2011年01月22日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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