歩行困難 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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歩行困難

 
 
【歩行困難】


単音を
ばらまいているうち
足が地面から
ほどけなくなった

そこにできていた楽譜は
かなでればもつれるだけの
あぶらの、ろうぜき

やけにぎらぎら
虹の根っこをおもわせて
いつのまにか
くつなしになった足を
つかんでいる

草がかわったのかと
おぼえるほどの
ひかるあらべすくだが

そのようにみやこが
あしもとをくずす変貌を
もうずっとみおろして
じぶんが渦になっていた
気もする

東京は
ながめるには良いところ
渦になっていると
それがわかるけれど

きょうは季節をすこしやめる
かさなったために
しろくなっているだろう
真うしろだけを
ふりかえる




今日は朝イチで
緑内障治療のため狐久保の眼科へ。
まめに薬を点眼していたためか
眼圧検査の結果は良好だった。

その後バスで仙川に行き、
本屋さんで「レコードコレクターズ」の増刊として出た
『フランク・ザッパ キャプテン・ビーフハート
ディスク・ガイド』(和久井光司の単著)を買ってしまい、
帰宅してぱらぱらめくると
読むのがやめられなくなった。

膨大なディスクレビュー集。
ディスクレビュー特有の「文体」にふれるうち
「ミュージック・マガジン」を読みふけった学生時代が蘇り、
そのころ聴いた音楽の感触まで厚みとして記憶にひかってきて、
卒論チェックをほっぽりだし
懐旧的になって一気読みしてしまった。
和久井さん、レビューがうまいなあ。

むろん評価はひとそれぞれだ。
たとえば和久井さんは70年代ザッパに点が甘いとはおもう。
レビューを読むためのBGMとして
70年代ザッパのアナログレコードをかけつづけたが、
『グランド・ワズー』も『万物同サイズの法則』も
うつくしく、手堅いとおもうがやはり物足りない。
ごった煮感が足らないのだ。

ザッパの60年代のアルバムは
細部を憶えきらない脅威が
その「前衛精神」「音のおいしさ」とともにあって
それが万華鏡の変化をスローモーションでみるように
時間意識に作用してきた。
その幻惑が好きだったが、
『グランド・ワズー』も『万物同サイズ』も
ぼくは精確に憶えていたのだった。

ともあれついさきごろ『ザ・ベスト・バンド』と
『メイク・ア・ジャズ・ノイズ・ヒア』にイカれたぼくだ、
『オン・ステージ』シリーズは第六集まで揃えようと誓った。

上の詩篇はその『ディスク・ガイド』の読後を書いたもの。



ここでお報せふたつ。

森直人+品川亮+木村重樹編集の
『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ができあがりました。
ロング座談会(インタビュー)が三本あって
ぼくは松江哲明監督とともにその二番目に参加し、
「フェイク・ドキュ」について話しているんだけど、
一番目には樋口泰人さんが参加、
三番目は黒沢清監督がインタビューされて、
これらをとおして読むと「ゼロ年代経過後の映画の現状」が
どのようなタームと精神性で捉えられなければならないかが
如実に、身体的につたわってくるとおもいます。
他の論考は未読だけど
現在的映画を捉えるための必携文献だと請合えます。

もうひとつ、岩波書店で刊行されているシリーズ、
「日本映画は生きている」全八巻がいよいよ終了ということになって
以下のイベントが決まりました。



シリーズ「日本映画は生きている」(全8巻)完結記念イベント
日本映画は生きている!

日時
2011年2月13日(日)
18:00~20:00(開場17:30~)
料金 税込:1,000円
会場 青山ブックセンター本店
定員120名様
受付開始日時
2011年1月19日(水)
10:00より
参加方法
オンラインストアにて受付いたします。
http://www.aoyamabc.co.jp/event/
または店舗にて受付いたします。
※入場チケットは、イベント当日受付にてお渡しします。
※当日の入場は、先着順・自由席となります。
※電話予約は行っておりません。
お問い合わせ先
本店
03-5485-5511
出演: 加藤幹郎・木下千花・黒沢清・小松弘・松本圭二・吉見俊哉・四方田犬彦・李鳳宇

ぼくは壇上者ではないけれど、当日会場にはいます。
とくに学生のかたで映画に興味のあるかたは
ぜひ青山ブックセンターのオンラインストアに
申し込んでいただければ

――以上、お報せでした
 
 

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2011年01月27日 現代詩 トラックバック(0) コメント(1)


説明不足だったかも。
ザッパと歩行困難にはじつは観念連合があります。

ウォークマンが出始めの70年代末期、
試用のため
友だちに一週間ほど
ウォークマンを借りていたことがあった。

そのときぼくは大好きなザッパを
カセットテープに入れてみたのだけど
ザッパにすると
ウォークマンではあるけない、足がもつれて(笑)。

曲想の素早い変転、コラージュ、
稀用拍子&変拍子、
歩行の健康性に反する悪趣味・・・

結果、ぼく自身はウォークマンを買うのを諦めたのでした。
あ、そうだ、エリック・ドルフィも
ウォークマンに入れてあるきづらかった
(『アウト・トゥ・ランチ』など)。

あと、詩篇では「東京」の語をはじめてつかっています。
これは昨日、目医者に行く途中、
鼻歌でうたっていた高田渡の「銭がなけりゃ」が
ひじょうに良い感じだったのが原因しています。

そのリフフレーズは以下。



東京は良いところさ
眺めるなら申し分なし
住むなら青山に決まってるさ
銭があればね



周知のようにこの歌は
ウディ・ガスリー「ド・レ・ミ」の換骨奪胎。
該当箇所はガスリー版ではこうでした。



California is a garden of Eden
It's a paradice to live or see
But believe it or not
You won't find it so hot
If you ain't got the Do RE Mi



「ド・レ・ミ」は「おゼゼ」。
高田渡の翻案、うめえなあ。

「ド・レ・ミ」はライ・クーダーが
ファースト・アルバムでカヴァーしてますね
 

2011年01月28日 阿部嘉昭 URL 編集












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