海かもめ
【海かもめ】
二時、みつめる者は
みつめかえされるだろうが
かくじつな二人称をまえにしても
それはしかし
正体のないまなざしだろう
確信が内にこもっているから
いつも発現されるもの
予感されるものがそうなる
けっして関係のせいでもない
きみに留守をあずけて
海かもめがとおくを
あまた舞っている浜へ
わたしをばらまきにゆく
みたものにのみ自分を置く
これがまなざしの第二の秘蹟
定着のないものの荒々しさ
ひかりと水と生き物とでできた
あれらを映画とはとらない
ひかりが影に反転するのならば
水はなにへと反転するのか
それをかんがえるのが詩の物理で
水に
水ではないものも現れてくる
けれどその無理は自身を鎮める
生の抑制にしかならない
ありえないものを中庸とする
およそ詩とはそんなものか
ひかっているそこは
無人のまなざしだろう
海かもめの舞いが
まばたきになってもいるようだ
あれらが二分もつづけば
悲秒もみちてくる
きみに似ている