くぼみ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

くぼみのページです。

くぼみ

 
 
【くぼみ】


こころの秘密はきっと
流離に代表される
ことばの秘密にふかくかかわって
海のまぢかにみえるこの窓のそばでも
わたしはくぼむように奥まっている
ひかりすら直截にはいってこない
さだめられた身の謙譲に
ことばとからだが規律されている

ほぐれるときが死なのか
愛着にまつわる秘密がきえ
いちまいの白紙にもどるときが
夕空までぬりかえてゆく嗚咽なのか
そんな判断のとおくを鳥がわたる

わすれるなと言渡するために
はしりぬけることはしなかった

河口ちかくの橋、場のふしぎ
なにかが透けている
空の俸給のようにあかるむ雲には
影をなげかける雲がとなりして
その一点から一切が暗転しだすと
しずかさをふらす暮雨もおとずれて
ことばの秘密のあるかなきかは
かつてあった語間の距離を
夕光でみたす空間性としれた
愛している、すらそこにあった

憶えていないことの非運を身の次善とする

わたしの名にある一字を点火して
できあがった「照」のなつかしさだが
ひかる部分とかげる部分が
けしきに混在するのがおそろしい
それらのどこがわたしだと
歩度のみだれてゆくのがおそろしい

そういえば海のみえる窓辺で
おりがみをあつかうように
ひとのからだを
たのしんだこともあった

ことばのながれに敗色をあびせ
それで手作業を支配したとおもうのは
脳髄のよわい者のまちがいだ
手作業は人そのものにまでひろげられ
ことばがあるいているような夕もあるが
暮雨が本降りになると
ひとも海辺にやがてみえなくなる

ない場所にわたしをなげる
そんな不明でからだがさみしくみちたりて
ことばの秘密も残照とおくにすてられ
やってきた夜はその方角から
いつまでも牽引されている

くぼみがましてゆく、星のように
 
 

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2011年02月04日 現代詩 トラックバック(0) コメント(1)

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2011年02月06日 編集












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