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好きな短詩篇ふたつ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

好きな短詩篇ふたつのページです。

好きな短詩篇ふたつ

 
 
1【なだれ】
井伏鱒二


峯の雪が裂け
雪がなだれる
そのなだれに
熊が乗つてゐる
あぐらをかき
安閑と
茛をすふやうな恰好で
そこに一ぴき熊がゐる


(『厄除け詩集』より)



2【ヒトごと】
阿部恭久


ある段に
洗濯をする女の白い脛を見て
落っこちた仙人の話がある

彼、「大和の国、吉野郡の竜門寺にこもって
仙法の修業をし飛行の術を習得したという。」
たいへんに努力家だったのだ


(『恋よりふるい』より)



詩はやっぱり、しなやかでなくちゃ。
ちなみに、井伏詩篇の「茛」は「たばこ」
 
 

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2011年02月22日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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